役員や従業員に給与を支払う際には、そのまま給与を支払うのではなく、給与計算が必要です。

給与計算について良く分からない方も多いかと思いますので、このコラムでは給与の「計算方法」、給与計算をするための「ソフト」、給与計算をする際に「注意」したいことをお伝えさせて頂きます。

このコラムでわかる「給与計算」のこと

  • 給与計算の計算方法
  • 給与計算ソフト
  • 給与計算の間違えやすいポイント

このコラムの対象者

  • 起業を考えている方
  • 創業期の経営者様
  • これから従業員を雇おうとしている経営者様

給与計算とは

給与はをそのまま、従業員の銀行口座に振り込むわけではありません。支給額から社会保険料や所得税などを源泉徴収して支払う必要があります。

給与計算のイメージ

総支給額(基本給や残業代など)-控除(所得税や社会保険料など)=差引支給額(手取額)

総支給額(総額)には「基本給」「残業代」「交通費」「○○手当」などが含まれ、会社ごとに項目が異なります。
最近では在宅勤務をする企業も増え、リモートワーク手当を支給する会社も増えました。

控除には、源泉所得税、社会保険料、雇用保険料、住民税等が含まれ、給与を支払う方に合わせて計算する必要があります。所得税、住民税、社会保険料や雇用保険などを支給額から差し引いた金額を毎月の決められた日に給与を支給する必要があります。

この様に、給与計算をするのには手間が掛かります。
この手間を省く為に、自社計算の為に給与計算ソフトを導入したり給与計算代行会社に外注したりする企業が多いです。

給与計算ソフト選び

これから給与計算を企業内部で行おうとしている経理ご担当者様は、「給与計算ソフトや勤怠管理ソフトは何を使うか」をご検討されるかと思いますが、給与計算ソフトの種類は多く、費用もまちまち、それに機能も様々です。
機能で選ぼうにも、勤怠管理ソフトとの連動ができるかどうかや、そもそも連動させるかどうかなど、機能性が高いがゆえに悩むことも多くなります。

そこで、給与計算ソフト等を導入する際にはご自身の判断で決めるのでは無く、税理士や社労士の方と相談をしてから購入する事をお薦めします。
税理士や社労士が使っている、使ったことがある給与計算ソフトの場合、非常事態(例えば経理担当者が辞めてしまった!等)が起こった場合でも、対処してもらいやすかったり、年末調整や助成金申請等の際に情報のやり取りが楽にできます。

全てを自社で済ませる場合も含め、給与計算ソフトを選ぶ際に抑えてほしいポイントは以下の3つです。

給与計算ソフトを決める際の3つのポイント

  • クラウドタイプとインストールタイプのどちらにするか
  • 従業員が増えた場合に費用はどうなるか
  • 勤怠ソフトと給与計算ソフトの相性はどうか

クラウドタイプの有名な給与計算ソフトでは、「人事労務freee」「マネーフォワードクラウド給与」「やよいの給与明細オンライン」などがあります。
インストール型には弥生の給与計算があります。

クラウドタイプの給与計算ソフトは、税制改正で給与計算の方法が変わったとしても自動で情報をアップデートしてくれるので、常に最新の法令に対応した状態で給与計算ができることがメリットとして挙げられます。
一方、一人500円程度の費用が毎月かかるので、毎月費用が掛かるのが嫌な企業や、人数が多く費用がかさんでしまう企業の場合は不適合かもしれません。

インストールタイプの給与計算ソフトは、歴史が長く前例が多いので安心感があり、問題解決の手段も探しやすいというメリットがあります。
しかし、税制改正や法令改正で給与計算の方法が変わる度、それに対応したバージョンの給与計算ソフトを買いなおす必要があります。

また、どのパソコンからでも給与計算ができる便利さか、ソフトをインストールしたパソコンでしか給与計算ができない安心感かという違いもあります。
「インストールしたパソコンでのみできる方が便利!」という企業もあれば、「どのパソコンでも給与計算ソフトが使えた方が便利!」という企業もあり、どちらがいいのかはその会社の企業体質によりますので、ご自身の会社のことを鑑みながらご検討ください。

従業員を雇う前に!給与計算で注意してほしいこと

給与計算の流れ

給与計算を誰がやるか、いつやるかを決める前に、給与計算の流れを知っておきましょう。

労働時間、時間外手当の集計

勤怠表やタイムカードを集計し、従業員の労働時間を集計します。その際、残業時間や深夜勤務、休日出勤などの時間外労働も集計し、時間外手当の計算を行います。

定時内の労働時間と、定時外の労働時間はきっちり区別して間違えないように注意しましょう。

STEP
1

その他手当や交通費などの精算

企業によっては通勤手当、在宅勤務手当、家族手当、寒冷地手当など、各種手当が支給されます。
通勤手当は、税金を計算する際の課税対象外になります。電車やバスなど公共交通機関を利用している場合は15万円まで、マイカー通勤の場合は片道距離に応じて4,200円~31,600円までがそれぞれ課税対象外です。それ以上の支給の場合は課税対象となりますので、特に新幹線通勤の人がいる場合などは気を付けてください。
在宅勤務手当も一部非課税ですが、その他会社で作っている手当はほとんどが課税されます。

STEP
2

総支給額の計算

給与計算STEP1、2で計算した支給額を合算し、総支給額を計算します。

総支給額=定時内の給与(基本給)+時間外手当+各種手当

STEP4から、控除される金額の計算です。

STEP
3

住民税の計算(特別徴収の場合)

住民税は「普通徴収」と「特別徴収」があります。

普通徴収は、従業員の自宅に支払い用紙が届き、従業員自身が支払いをします。
特別徴収は、会社が給与を支払う前に住民税の税額を源泉徴収をおこない、従業員の代わりに納税する制度です。

特別徴収の場合、「住民税特別徴収税額の通知書」が市区町村から届きますので、控除する金額は計算する必要はなく、通知書の数字のまま、控除するだけです。

STEP
4

雇用保険料の計算

雇用保険料=総支給額×雇用保険料率
※雇用保険料率は厚生労働省の「雇用保険料率について」をご覧ください。

一般的な企業の場合、従業員負担は0.6%、会社負担は0.95%です。(2023年12月現在)
総支給額が20万円の場合、20万円×0.6%=1,200円を雇用保険料として、総支給額から控除します。

STEP
5

健康保険料の計算

健康保険料=標準報酬月額×保険料率÷2

標準報酬月額は、健康保険料をわかりやすく計算するために報酬月額を50等級に分けた計算用の金額です。
4~6月の3か月間の給与(通勤手当も含む)の総支給額をもとに決定されます。
標準報酬月額の区分は「全国健康保険協会HPの保険料額表」をご覧ください。

保険料率は、都道府県ごとに定められています。
さきほどの「全国健康保険協会HPの保険料額表」で、【令和2年度の東京都】を見てみましょう。
令和2年9月分から適用されている健康保険料率は介護保険第2号被保険者(40歳以上65歳未満の人)の場合は11.66%、それ以外の人は9.87%です。
総支給額が20万円の場合、20万円×0.1166/2=11,600円を健康保険料として、総支給額から控除します。

STEP
6

厚生年金保険料の計算

厚生年金保険料=標準報酬月額×保険料率÷2

厚生年金の保険料率は保険料額表によると18.300%です。健康保険料と同様に標準報酬月額をもとに計算を行います。
総支給額が20万円の場合、20万円×0.183/2=18,300円を厚生年金保険料として、総支給額から控除します。

STEP
7

源泉所得税の計算

源泉所得税額=総支給額ー(雇用保険料+健康保険料+厚生年金保険料)ー扶養者の控除

扶養している家族がいる場合、扶養控除が発生するため同じ給与でも納税額は扶養家族がいない人よりも少なくなります。
源泉所得税額は国税庁が毎年発行している「源泉徴収額表(令和3年分)」をもとに見るとわかるので、計算する必要もありません。

STEP
8

最後に、会社独自の控除があれば。

最後に、会社独自の控除があれば、ここで控除します。
(社宅利用料など)

STEP
9

給与支払日をいつにするか

経営者様と給与計算のお話しをさせて頂く中で、給与計算に係わるお困りごとの多くは、給与計算にかけられる日数(締め日から支払い日までの日数)が短いことから発生しています。

特に多いのが、「従業員は給料日が早い方がいい」と思って月末締め、翌5日払い…など極端に短い場合です。
自社で行うのも大変ですし、対応できる給与計算代行会社もあまりありません。そして、代行費用はとても高くつきます。

こうならないためにも、まず、給与計算を始める前に(従業員を雇う前に)上記の給与計算の流れをご理解の上、給与計算をどのように行うかをご検討ください。

ここからは具体的に、よりイメージできるようにお伝えしようと思います。

末締め、翌月10日払いの場合のスケジュール

給与計算を考えるときは営業日で何日あるのかをまず考えましょう。
10日払いの場合、土日は最低2日、多い場合は4日が含まれます。つまり、実質6営業日で計画をたてます。

1~3営業日
・勤怠データを従業員から集める
・勤怠情報の確認→不備があった場合の修正と確認
・振込手続きの期限によってはもっと短い場合もある
4営業日
・給与計算
・土日が少なければあと2営業日増やすこともできるが、それはカレンダー次第
5~6営業日
振込手続き。銀行により、3営業日前までしかできない場合もある。

なかなか切羽詰まったスケジュールであることがお分かり頂けますでしょうか?
万が一、給与計算をする担当者が体調不良等で仕事が出来ない場合は、どうしたら良いでしょうか?
風邪でもインフルエンザでも新型コロナであろうとも、出社しなければ全社員の給与が支払われないことになってしまいます。
さらに言えば、1月や5月の給与計算に至っては、休暇が長いため、この3つの工程を1~2営業日で納めなければいけなくなることもあります。

このように、給与計算をする期間が短いと、お客様自身で対応する場合も日数に余裕がなくカツカツな状態で、給与計算を代行業者に外注しようとしても断られるケースが多いのでお勧めしません。
万が一トラブルが発生した際にも対応できるように、余裕をもって「末締めの翌月20日払い」の様に給与計算をできる日数を多く確保した方が良いかと思います。

給与計算担当(経理担当)を雇うか、代行業者に外注するか

従業員を雇うようになってきた!というタイミングで、経理担当を新規に雇おう!というのもとても良いと思います。
が、まだまだ会社が小さい状態で人を一人雇うと、その人に払う給料のほか、社会保険料や交通費などの支払いも増えます。
そのため、経理担当者を雇うのもいいのですが、代行業者も同時に比較検討してもいいかもしれません。

経理担当が給与計算を行う代行業者
費用8~30万円1~10万円
業務内容経理以外もやってもらえる(電話対応など)頼んだ仕事だけしかやらない
採用経理経験者を雇うのは難しい業者が採用するので必要なし
辞職の引継ぎ能力差があることも多く、引継ぎが困難業者内で引継ぎを行うので心配なし
守秘他スタッフの給与を知られてしまう守秘義務がある

そのほか、給与計算を代行業者に外注するメリットとデメリットをご覧の上、経理担当を雇うか、代行業者に外注するかをご検討ください。

なお、弊社も給与計算代行を行っております。もし、外注業者をお探しでしたら弊社もあわせてご検討ください。

投稿者プロフィール

長谷川
長谷川
初回面談のヒヤリングを担当。
お客様のニーズをしっかりと聞き出し、より良いサービス、よりご満足頂ける方法、より経営がしやすい方法をご提案しています。
ときには弊社のサービスではなく、他社やほかの方法をオススメすることも…
お客様が安心して経営できるようにサポートしています。

お問い合わせ

ご依頼及び業務内容へのご質問などお気軽にお問い合わせください